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マンションを取り巻く現状と課題
その解決方法

問題点・課題

Problems/issues

管理費等の未収金問題

管理費等の未収金者への滞納金回収

2024年の標準管理規約の改定により、連絡のつかない(行方不明の)未収金者に対して、その所在を調査する際の費用について、規約等で定めることにより当該未収金者へ請求ができるものとされました。

管理費等の未収がある場合,当該未収者の住戸が売買や競売により買受人に所有が移転したときには、買い受けた新たな所有者も、区分所有等に関する法律第8条(区分所有法第8条)により、特定承継人として管理費等の債権者である管理組合に対して支払義務を負うことになっています。

区分所有法第8条 

「前条第1項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる」・・・

8条は、管理組合の運営費の原資となる管理費等は、組合員の共同の利益を確保するために必要なものであり、管理費等が納付されないことで運営の原資に不足が生じ、建物の維持保全等を含めて実施すべき運営ができない場合には、組合員の共同の利益が害されるとして、その徴収を確実にし、管理組合の運営を円滑に行うべきとの趣旨に基づきます。

管理組合は、両者に対して未収の管理費等を請求することができます。しかし、前者に対しては、連絡先もわからず、その人格の実体もないような場合には、回収が困難です。こうなりますと、法的処置として例えば競売に付し、競売資料に未収金額や、当該未収に係る遅延損害金や諸費用等を示したうえで未収金の回収を実現します。

当該競売資料を見て、買い受けた競落人である組合員が後に、遅延損害金は支払わない、などの事態にならないためにも競売資料には、後に請求する内訳や金額は示しておくことが望まれますので競売を申し立てる際に依頼する代理人には、この旨お知らせしておきましょう。

買い受け人は、競売資料に記載された未収金額などの情報から、自己が支払うことを承知したうえで競売に参加することになるため、未収金を支払ってまでも当該住戸を購入する価値があるかの判断が求められます。

管理費等の未収金者への時効の中断

管理費等の未収金者への対応において、滞納金が20万円を超えると雪だるま式に積もっていくとの考えから、初期段階での回収には最大限尽力します。回収・督促手段はさまざまですが、状況次第では、費用はかかりますが法的処置が有効な場面もあります。
また、管理費等の未収金は、定期給付債権とみなされ消滅時効が5年間とされております。
消滅時効時期が迫ってきているなどの時には、“時効を中断”させることができます。

時効中断事由3つとは・・・ 

  1. 法的措置として、例えば訴訟提起、支払督促申し立てなど裁判上の請求を行う。
    裁判外の催告として、督促状などを内容証明郵便の方法により送付すると6カ月は時効が中断します。ただし、この場合には、当該6カ月の間に法的措置を講じる必要があります。
  2. 差し押さえ、仮差押え、仮処分などとして強制競売申し立て、動産執行の申し立て、仮差押え命令書の送達などがあります。
  3. 『債務の承認』として、債権者としての管理組合からの支払い要求に対して、時効消滅期間における未収金の一部でも支払って(弁済して)きたり、未収金を減額してほしいと交渉してきたり、支払い期限を猶予してほしいなど要求してきた場合は、自分に債務があることを認めた、と解されます。
    もちろん滞納している組合員が、自身は管理費等をどの期間でいくらを支払っていないことを認めることも該当します。これらについては証拠として書面にて未収者の自署などを含め記録しておくことが望まれます。
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