問題点・課題
Problems/issues
管理費の収支状況の把握
かつての消費税3%の時代から、5%、8%そして10%と変化していますが、管理組合の収支において、収入として管理費等は非課税のため、値上げしない限りは消費税率が変わってもその金額は一定です。
これに対し、支出費用には課税されるため、支出のみが増加する現象から、収支バランスの均衡が図れていないことがあります。
一度見直しを行ったうえで支出を低減する方法を検討し、それが難しければ早期に管理費の値上げを検討します。
※当社では、管理組合の支出削減策として、自社業務効率を上げ経費削減を図るなどの努力により、管理組合への委託費金額の低減を実現することで地域社会応援に取り組みます。
その他の支出削減策もご用意しており、当社管理のなかで積極的に取り組んでいます。
修繕積立金の適正額と現状の積立額の把握
長期修繕計画を作成し、計画的に必要な資金を貯蓄していく必要があります。
長期修繕計画を作成するときには、計画に盛り込む工事金額次第で、各戸の修繕積立金の金額が変わりますので、しっかりと盛り込むべき工事と金額を検討しましょう。
そうはいいましても、必要な工事を計画から削って、後々、資金が貯まってないといった事態にならないよう注意してください。
そもそも、各お部屋の毎月の修繕積立金金額は、何を根拠に決定されていますか。
その場での役員様の主観的考えで決められているとなれば、過払いまたは不足のリスクがあります。
長期修繕計画を作成し、計画上に見込むその先の期間(約30年くらいが目安)に、いつの時期に何の修繕工事を予定し、そして各修繕工事にいくらかかる、といったことを検討します。
その結果作成された長期修繕計画上の計画期間に係る総工事金額を基に、各住戸の修繕積立金を算出していくことになります。
修繕積立金の値上げ方法の種類
各戸の修繕積立金の金額設定に関しては、国土交通省は長期修繕計画期間において一定の金額とする一律値上げ方式を推奨しています。しかし、現状は、将来に向けて少額づつを数年ごとに段階的に上げていく方法(段階的値上げ)を採用している管理組合が多いのが現状です。単純に考えれば、個々の生活設計もあるので、段階的値上げ方式が選ばれる理由もわかります。
この件について深く考察すると、それぞれの方式が選ばれる理由が以下に示されております。マンションとして、どちらかの方式を選択するに際しては、規約で定める決議割合に則り選択していくほか仕方がないのかもしれません。
一律値上げ派の意見
- 国が推奨している値上げ方法だから。
- 段階的値上げでは、今部屋を所有している組合員と、その組合員が部屋を売却した際の新たな組合員とでは、月々の修繕積立金の金額が異なることに対して、違和感を感じる。(同じ組合員なのだから時期にかかわらず同一金額であることが然るべき)
段階的値上げ派の意見
- 現在所有している組合員にて値上げの金額(方法)を総会等で決議できるため、生活への影響を考えれば、毎月の修繕積立金の金額は少しでも安いほうが助かる。仮に、将来、お部屋を売却して新たに組合員になる者が高い金額を求められることになったとしても、そこまでのことは考えられない。
- 部屋の所有も自分の代までだと思うし、この先何年生きるかもわからないため、まずは段階的値上げで最初のうちは安価な金額に設定しておきたい。しかし、長期にわたり所有する結果となった際には段階的値上方式は、一律値上げの金額を上回る金額となるため、その場合の不安は大きい。
- 現時点で既に、年金受給で生活しているため、一律値上げの金額は物理的に厳しい。
分譲時の修繕積立金金額の解釈
修繕積立金はマンション分譲時には安価に設定されており、購買者の購入意識を高めている場合が多いのですが、最も重要なところは、“将来的に値上げが必要となる”ことが購入者である組合員に正確に伝わっていない現状があります。
修繕積立金が購入時に示された金額のままと思っていた組合員によっては、値上げすることすら理解できない事かも知れませんが、これも現実です。
高経年マンションにおける修繕積立金の不足原因の追究
40年超えのマンションで修繕積立金が不足している原因をヒアリングしたところ、その理由として多かったものです。
- 管理会社から値上げの提案がなされてない。
- 理事会から値上げ時に示された金額について、その算出根拠を示されなかったため、金額の妥当性に疑問があり、値上げの議論が進まず、その後はそのままになってしまっている。
- 値上げが定期総会で審議されたが、否決されたため、そのままになってしまっていた。
- 値上げ金額の根拠となる長期修繕計画が作成されていなかった。
- 長期修繕計画上の計画工事以外にも、突発的な設備不具合や建物補修、外構補修などに支出が生じたため、長期修繕計画を根拠に算出した金額では不足にするに至った。