はじめに
よく耳にしますが、マンションでは2つの老いとして建物設備の老い、そして住む人の老い、が伝えられています。多くのマンションでは、その他にも沢山の「問題」・「課題」が山積しているものかと思います。しかしながら、それぞれの管理組合で1つ1つでも問題と向き合い、議論し合意形成の下で歩むべき道を決定していかなかれば、悪い現状は変わらず、問題はより悪い問題として残ってしまい2次被害が発生し、深刻な被害を招くこともあります。
理事会でも、結論を出すべく議論に努めても、出された結論が必ずしも正解であるかもわかりませんが、そのような事態を恐れずに、まずは、“取り組むことを始める”ことが肝要です。
しかしながら、始めるにも、その議論の先に財政難が待ち受けており、進めたい方向に話が進められず、或いは、進む方向が制限されてしまうといった現実もつきつけられます。まさに、負の連鎖・負の循環にならないよう資金形成は将来を見据えてしっかりと行いましょう。
特に、高経年マンションにおいては、国の政策もマンション運営に関する対応策も確立していないまま現在に至ってしまっている時期が長かったであろうことから、その運営の立て直しには相当の苦労が強いられることでしょう。築後40年、50年が経過しているマンション建物を外観から見ると、その見た目に大きな差があります。日常的に建物をメンテナンスしていたか否かが結果を二分したことでしょう。
マンション建て替え円滑化法が施工され、高経年マンション、及び耐震不足マンション、火災時の安全性確保などの面から、建替え時に所定の容積率が緩和されるといった政策も創設されましたが、建替えによる恩恵を得られるマンションがどのくらいあるでしょうか。
さらには、マンションの終活として、管理組合を解散する際には、管理規約等の決めに則り、残余財産をその時点の組合員で精算することになりますが、果たして残余財産が残るのでしょうか。どれだけの管理組合が建物の解体費用を見込んでいるでしょうか。
明日、管理組合を解散します。さて、解体費用を1住戸あたり、100万徴収します・・・なんて事態では困ってしまいます。
また、管理組合を解散する場合には、清算金はないにしろ、せめて、各組合員が残債務を抱えるような事態にはならないようにしたいものです。
直近の国土交通省により実施、公表されたマンション総合調査によれば、「管理組合運営における将来の不安」という質問に対しては、以下の回答が得られています。
割合は省略しますが、①区分所有者の高齢化、⑥修繕積立金の不足(財政難)、⑦役員の就任が困難(成り手不足)が前回の調査に続いて依然、高い割合で推移しています。
管理組合運営における将来の不安
- 区分所有者の高齢化
- 居住者の高齢化
- 賃貸住戸割合の増加
- 居住以外の所有形態の増加
- 管理費等の滞納の増加
- 修繕積立金の不足
- 役員の選任が困難
- 運営に無関心な組合員の増加
- 大規模修繕工事の実施
- ルールを守らない居住者の増加
- 外国人居住者とのコミュニケーション
- マンション内での犯罪の増加